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千葉の津波避難タワー、完成10年でもう使用不能に…住民「こんなに早く駄目になるとは」 太平洋沿岸にある千葉県匝(そう)瑳(さ)市の今泉浜地区に整備された津波避難タワーの腐食が進み、2015年の完成から10年しかたっていないのに使用不… (出典:読売新聞オンライン) |
1. 津波避難タワーの概要と問題の発生
このタワーは、地域住民や訪れるサーファーたちにとって、万一の津波時に命を守る貴重な避難場所として機能するはずでした。
実際、150人の避難者を受け入れることができる設計となっており、塩害対策として腐食に強い塗装を施すなど、健全な避難施設としての期待が大いに寄せられていました。
しかし、建設後わずか10年足らずでその期待は裏切られる形となります。
タワーは、完成後すぐの2016年から2018年にかけての点検で塗装の不具合が指摘され、その後も補修が行われていたものの、さびの進行を止めることができませんでした。
そして2024年、ついにその使用が中止される事態に陥りました。
地元の建設会社や設計業者、塗料業者の協力による詳しい調査の結果、塗装時の下地の調整不足や塗料が均一に施されていなかったことが劣化の一因とされていますが、具体的な原因や責任の明確化に至っていません。
このため、市は次のステップとして新たな避難タワーの建設を検討していますが、予算の問題から計画は難航している状況です。
こうした状況を踏まえて、匝瑳市当局は近隣に位置する県東部家畜保健衛生所との間で協定を結び、その建物を代替の避難場所として活用する方策を打ち立てました。
衛生所は津波避難タワーよりも高台に位置し、周辺住民の安全を考慮した一時的な解決策となっています。
しかし、地元住民からは予想外の速さでタワーが劣化したことに対する不満や、信頼の揺らぎが生じています。
訪問者であるサーファーたちも、避難場所が使用不能という現実に直面し、地域の安全対策に強い不安を抱いています。
他方で、16年と18年に異なる塗装方法を施された2か所の津波避難タワーは問題なく機能しており、この問題が特定の施工に由来するものである可能性が示唆されています。
問題解決に向け、市が着実な対策を講じることが求められていると言えるでしょう。
2. 塗装の不具合とその原因
この不具合の大きな理由とされるのが、塗装時の下地の調整不足や塗料の厚さの偏りです。これにより、塗膜が均一に保たれず、特に劣化が進みやすい部分が生じてしまいました。この原因を突き止めるべく、市と関係業者が共同で調査を行いましたが、明確な原因特定には至りませんでした。しかし、施工時に十分な品質管理が行われなかった可能性が示唆されています。
さらに、現地では同じ時期に異なる塗装方法が試された他の津波避難タワーが存在し、これらは問題なく運用されていることが確認されています。このことから、今回のタワーに特有の施工上の問題があったのではないかと考えられています。市としても新たな避難塔の建設を視野に入れていますが、その費用は当初の約2倍となり、財政面での課題が大きく立ちはだかっています。これからの対策には、より具体的な原因の解明と、信頼性の高い施工技術の導入が求められます。
3. 代替避難場所と財政負担
一方で、新たな避難タワーの建設には大きな財政的課題が横たわっています。当初予定していた建設費用は7830万円でしたが、現在では1億4000万円にまで増加しています。この急激な費用の増加は市にとって重荷であり、新たな塔の建設に対する見通しが立ちにくい状況が続いています。この財政負担は、市の他の公共事業やサービスにも影響を及ぼす可能性が懸念されており、多くの市民から慎重な対応が求められています。
地域の安全確保と財政負担のバランスをどう取るかが、今後の匝瑳市の重要な課題となるでしょう。市民の安全を守るためには、効果的なリスク管理と計画的な財政運営が欠かせません。今後も市の対応に注目が集まっています。
4. 地元住民と訪問者の声

この問題について、実際の声をいくつか取り上げたいと思います。
まず地元住民の中には、「信用できない」「予想外に早く劣化してしまい困った」という声が多く聞かれます。
この種のインフラが想定以下の寿命で使用不能になるという事態は、住民の不安を香ばし、行政への信頼を揺るがします。
特に津波という脅威に対して、多くの命を守るはずの構造物が使用できないということに対する不満は大きいと言えるでしょう。
さらに、匝瑳市の地域に訪れるサーファー達からも不満の声が上がっています。
彼らにとって、この津波避難タワーは非常時の命綱であるはずです。
それが現実には、そのような機能を果たさないということに対して、彼らもまた「期待が裏切られた」と感じ、安全性の確保を強く求めています。
一方で、匝瑳市内にある他の2か所の津波避難タワーは問題なく運用されています。
この事実から、今回の事例が特異であることが分かります。
これらを考慮すると、今後、同様の問題が他の地域で発生しないように、設計および施工の段階からの徹底した確認と改善が求められています。
このように、地元住民と訪問者から寄せられる声は、今後の対策に直接的・間接的に影響を与えることは間違いなく、行政と施工業者はこれらの声を真摯に受け止め、改善策を講じることが求められています。
5. 最後に

特筆すべきは、完成時には塩害対策として腐食に強い塗装が施されていたにもかかわらず、早速劣化が始まりました。これを受け、2016年から2018年にわたる点検では塗装の不具合が指摘され、補修作業が行われました。しかし、劣化は止まらず、最終的に使用中止の判断が下されたのです。地元の建設会社や設計業者が調査したところ、塗装の下地の調整不良や塗料の厚さの不均一さが原因として挙げられ、さらに施工業者からの明確な責任の所在も指摘されていません。
こうした状況に対応するため、匝瑳市は近隣にある県東部家畜保健衛生所と提携し、代替の避難場所として活用する計画を進行させています。この建物はタワーよりも高所に位置しており、住民の安全確保に一役買っています。また、財政面では、新たな避難タワー建設に向けた費用が当初の計画の2倍に膨れあがり、財政的な制約が新たな挑戦を意味しています。このような現状から、今後の対策として塗装の改善や耐久性の高い材料の選定が重要視されています。